以前、放送作家として関わった番組の中で意外な職業の収入を調べるという企画があった。他人の懐事情というのは興味深いもので、リサーチしたところ面白い結果が出て来た。
町にひっそりと店を出している酒屋さんの年商がなんと15億だったり、あれだけ命を張ってるスタントマンの月収が20万円だったり、ボロボロのプレハブで営業する便利屋さんの年商が3500万だったり、外から見ただけではわからないものだった。
番組ではその便利屋さんの仕事に密着したのだが、これまた面白いものだった。
引っ越しの手伝いや部屋の掃除などの依頼は想像つくのだが、中には結婚式の代理出席、おじいちゃんの囲碁の相手、ゲームのレベル上げなどなど様々な依頼があるという。
中でもひどかったのが、女性用下着を買ってきてくれと中年男性に頼まれたことがあるとのこと。色んな依頼が入ってくるので毎日ワクワクして仕事しているそうである。
そんな便利屋さんが遭遇した、放送では使えなかったイヤな話がある。便利屋には色んな依頼が来るのだが、その中でも珍しかったのがプール掃除の仕事だった。
依頼の内容はある屋敷の個人用のプールを掃除するというものだった。その大きな屋敷は持ち主がコロコロと変わるらしく、屋敷の中はキレイに保たれていたのだが、頻繁に使うはずもないプールは放置されたままだった。
そのプールは緑色に濁りきっていた。季節は夏を迎えようとしていたが、腐りかけた枯れた枝や葉っぱが水面や水中を漂っていた。
おそらく何シーズンも掃除されないままだったのだろう。プール清掃の経験は過去にも数回あったが、ここまでヒドイのは初めてだった。折れかかる心を奮いたたせて清掃にとりかかった。
まずは排水。プールに溜まっている水を抜く事から始めた。バルブを開けて水を流すのだが、長年プールを放置しておいたせいで、ゴミや藻などがからみついて排水溝がたびたび詰まってしまう。
ものすごい悪臭やぬめりと戦いながら、排水溝に詰まったゴミやら木やら草やらを取り除いていった。
しばらくして水の流れが良くなったころ、再び排水溝に詰まったものがあった。
舌打ちしながら近づいて見るとそれは「犬」らしき死体だった。だが、死後何年も経っているのか、骨のまわりにドロドロの肉がついた状態で、その大きさからかろうじて「犬」なんだろうなと想像がつくぐらいである。
もちろん、仕事なのでその「犬」を引き上げてビニール袋につめておいた。その後はコレといったものも詰まらずにプールの水が抜け切った。しかし、ここからが本当に大変なのだった。
水がなくなったプールの底。一面に大量のゴミが広がっていた。この屋敷の持ち主が捨てたのか、自転車やイス、子ども用のベッドやおまるまでそれはもう色々なものが落ちていたのだ。
これを片付けるのかと思うと目の前が真っ暗になった。さらに気を重くさせたのが無数の何かの死体。
さっき片付けた「犬」の死体よりも小さな無数の動物の死体たち。
鳥、猫、カエル、さまざまな生き物の死体がヘドロ状になってあちこちに落ちているのだった。
後日聞いたのだが、この便利屋さんはこの時、あまりの惨状に思わずビールを飲んで景気づけしたそうだ。
とりあえず、重い腰を上げ清掃を始めた。悪臭とヘドロに悩まされながら次々とゴミと死体をプールサイドに上げていく。
最初は抵抗のあった死体も次第に平気になってきて、アルコールも回ってきたのか鼻歌まじりで死体をビニール袋に詰めていた。
ところが、ある死体を見て一気にアルコールが吹っ飛んだ。
それは……人間の赤ちゃんだった。
ホースの水でザッと洗い流すと、今までの動物たちとは明らかに違う生き物が現われた。
それは生後数カ月の赤ちゃんだった。身体の肉ははがれかけていたが、その大きさと形は明らかに赤ちゃんのそれだった。
慌てて依頼主に電話して警察を呼んでもらったそうだ。結局、警察の捜査が入りプール清掃はそこでストップ。
その赤ちゃんの遺体は警察が持ち帰り調べたそうだ。後日聞いたところによると、その赤ちゃんは生後3カ月だという。
しかし、不思議なことに、へその緒がついたままだったそうだ。しかも、胃の中から消化されたカエルや虫が出て来たという。
そんな事があるのかわからないが、プールの水の中でしばらく生きていたのではないか? という仮説も立てられたそうだ。
胎児の間、羊水の中に浮かんでいるからといって水中で成長するなんて事があるのだろうか?結局その赤ちゃんは、過去の持ち主の誰とも親子関係が証明できず、身元がわからないままになったそうだ。
その後、捜査も終わり便利屋さんはプール清掃に戻ったが、警察の捜査のためかキレイにプールが清掃されていたという。
「ラッキーだったな~」と笑いながら、「テレビでこの話使えない?」と聞かれたが、バラエティ番組で使えるわけもなく、このネタはカットされた。
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町にひっそりと店を出している酒屋さんの年商がなんと15億だったり、あれだけ命を張ってるスタントマンの月収が20万円だったり、ボロボロのプレハブで営業する便利屋さんの年商が3500万だったり、外から見ただけではわからないものだった。
番組ではその便利屋さんの仕事に密着したのだが、これまた面白いものだった。
引っ越しの手伝いや部屋の掃除などの依頼は想像つくのだが、中には結婚式の代理出席、おじいちゃんの囲碁の相手、ゲームのレベル上げなどなど様々な依頼があるという。
中でもひどかったのが、女性用下着を買ってきてくれと中年男性に頼まれたことがあるとのこと。色んな依頼が入ってくるので毎日ワクワクして仕事しているそうである。
そんな便利屋さんが遭遇した、放送では使えなかったイヤな話がある。便利屋には色んな依頼が来るのだが、その中でも珍しかったのがプール掃除の仕事だった。
依頼の内容はある屋敷の個人用のプールを掃除するというものだった。その大きな屋敷は持ち主がコロコロと変わるらしく、屋敷の中はキレイに保たれていたのだが、頻繁に使うはずもないプールは放置されたままだった。
そのプールは緑色に濁りきっていた。季節は夏を迎えようとしていたが、腐りかけた枯れた枝や葉っぱが水面や水中を漂っていた。
おそらく何シーズンも掃除されないままだったのだろう。プール清掃の経験は過去にも数回あったが、ここまでヒドイのは初めてだった。折れかかる心を奮いたたせて清掃にとりかかった。
まずは排水。プールに溜まっている水を抜く事から始めた。バルブを開けて水を流すのだが、長年プールを放置しておいたせいで、ゴミや藻などがからみついて排水溝がたびたび詰まってしまう。
ものすごい悪臭やぬめりと戦いながら、排水溝に詰まったゴミやら木やら草やらを取り除いていった。
しばらくして水の流れが良くなったころ、再び排水溝に詰まったものがあった。
舌打ちしながら近づいて見るとそれは「犬」らしき死体だった。だが、死後何年も経っているのか、骨のまわりにドロドロの肉がついた状態で、その大きさからかろうじて「犬」なんだろうなと想像がつくぐらいである。
もちろん、仕事なのでその「犬」を引き上げてビニール袋につめておいた。その後はコレといったものも詰まらずにプールの水が抜け切った。しかし、ここからが本当に大変なのだった。
水がなくなったプールの底。一面に大量のゴミが広がっていた。この屋敷の持ち主が捨てたのか、自転車やイス、子ども用のベッドやおまるまでそれはもう色々なものが落ちていたのだ。
これを片付けるのかと思うと目の前が真っ暗になった。さらに気を重くさせたのが無数の何かの死体。
さっき片付けた「犬」の死体よりも小さな無数の動物の死体たち。
鳥、猫、カエル、さまざまな生き物の死体がヘドロ状になってあちこちに落ちているのだった。
後日聞いたのだが、この便利屋さんはこの時、あまりの惨状に思わずビールを飲んで景気づけしたそうだ。
とりあえず、重い腰を上げ清掃を始めた。悪臭とヘドロに悩まされながら次々とゴミと死体をプールサイドに上げていく。
最初は抵抗のあった死体も次第に平気になってきて、アルコールも回ってきたのか鼻歌まじりで死体をビニール袋に詰めていた。
ところが、ある死体を見て一気にアルコールが吹っ飛んだ。
それは……人間の赤ちゃんだった。
ホースの水でザッと洗い流すと、今までの動物たちとは明らかに違う生き物が現われた。
それは生後数カ月の赤ちゃんだった。身体の肉ははがれかけていたが、その大きさと形は明らかに赤ちゃんのそれだった。
慌てて依頼主に電話して警察を呼んでもらったそうだ。結局、警察の捜査が入りプール清掃はそこでストップ。
その赤ちゃんの遺体は警察が持ち帰り調べたそうだ。後日聞いたところによると、その赤ちゃんは生後3カ月だという。
しかし、不思議なことに、へその緒がついたままだったそうだ。しかも、胃の中から消化されたカエルや虫が出て来たという。
そんな事があるのかわからないが、プールの水の中でしばらく生きていたのではないか? という仮説も立てられたそうだ。
胎児の間、羊水の中に浮かんでいるからといって水中で成長するなんて事があるのだろうか?結局その赤ちゃんは、過去の持ち主の誰とも親子関係が証明できず、身元がわからないままになったそうだ。
その後、捜査も終わり便利屋さんはプール清掃に戻ったが、警察の捜査のためかキレイにプールが清掃されていたという。
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