この間、知り合いの放送作家から面白い芸人を紹介してもらいました。その芸人のネタはいまいちなのですが、ものすごい霊能力があるらしいんです。
一緒に飲んだときには、前世を占ったり、背後霊を見てくれたりと一通り見てもらいました。
不思議と占い師相手には敬語になってしまうもので、10歳以上も年下のその芸人に敬語で色々と聞いてしまいました。
たしかに占いは当たっており、小さい頃にしたヒザの手術や親の病気のことなどズバズバ言い当てられたのです。しかし、彼は芸人なのです。
結局そんなすごい才能を持ってはいても、ライブに出ればいじられ芸人で服に火をつけられたり、ノリで客からビンタされたりとヒドい目にあっています。まあその姿が面白いのでOKなのですが。
そんな彼は元々いじめられていたそうで、中学校の時、イジメが原因で引っ越したことがあるそうです。引っ越した先の中学では、いじられキャラがバレなかったので普通にすごしていました。
しかし、なぜかいじめっ子というのは嗅覚がするどく、たびたびちょっかいをかけられるようになりました。
「これはマズイな……」とそう感じていたところに、救世主が現れたのです。
それは、彼よりももっといじられキャラの女の子でした。転校して、みんなの前であいさつしたときから、ありがたいことにイジメのターゲットは彼女に決まってしまいました。
巨大なレンズのメガネにオカッパ頭。前髪パッツンの一直線。そして、太っているというマンガで描きやすいルックスだったのです。
初日から悪意のあるあだ名が次々とつけられました。しかし、彼女はあまり人と接することなく周りからはやし立てられてもなんのリアクションも起こしませんでした。
ただ、彼女が声をあげるのは授業中、それは突然の事でした。
国語か何かの授業のとき、突如彼女が
「来る! 来る!」
と叫びだしました。
びっくりしたみんなは一斉に彼女の方を振り向きました。
すると、どこを見るでもなく彼女は空中を指差して叫んでいました。教師も驚いていましたが、平静を取り戻すために「静かにしなさい」と彼女に言いました。
その時、彼女が
「来た!」
と叫んだのです。
すると、彼女が指差した方向の机にかかっていたカバンが落ちたのです。
そしてまた彼女が叫びました。
「来ないで!」
すると、机の横にかかっていたカバンが次から次へと落ちていきました。
それはまるで、彼女の元へ見えない何かが走っていき、その脚が当たってカバンが落ちて行く……。
みんなには見えていませんが、そんな感じでした。彼女は最後は気絶してしまい保健室に運ばれていきました。
以後も彼女はそんな感じで、「霊が来る」とか「今あそこを通った」などと霊感少女として授業をさまたげ、イジメの標的すらはずれて学校に来なくなってしまいました。
「なにが霊感だよ」「そんなのいるわけないじゃん」などクラスメートは口ぐちにバカにしていました。
ところが、イジメの標的を離れた彼は霊感があったので全部見えていたのです。転校してきてからしばらくして気づいたのですが、ずっと女性が廊下の窓から授業をのぞいているのです。
そしてたまに教室に入ってくることがあるのです。後に聞いたのですが、数年前に女性教師がその学校で自殺したそうで、恐らく彼女がさまよっていたのではないかということです。
あの霊は霊感がある彼とあの彼女にしか見えていなかったと思います。
彼もすごく気になってしょうがなかったのですが、それを言い出すと確実にイジメの標的になるので、それから卒業までの間ずっと黙っていたそうです。
霊は授業中も給食のときも、ずっとそのクラスのあちこちをふらふらと浮いていたそうです。
もちろん誰も気がつくことはなかったそうです。
結局彼は勉強に集中できず、成績がどんどん落ちていってしまいました。おかげでガラの悪い高校に通うハメになってしまい、また全力でイジメられる日々が始まったそうです。
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一緒に飲んだときには、前世を占ったり、背後霊を見てくれたりと一通り見てもらいました。
不思議と占い師相手には敬語になってしまうもので、10歳以上も年下のその芸人に敬語で色々と聞いてしまいました。
たしかに占いは当たっており、小さい頃にしたヒザの手術や親の病気のことなどズバズバ言い当てられたのです。しかし、彼は芸人なのです。
結局そんなすごい才能を持ってはいても、ライブに出ればいじられ芸人で服に火をつけられたり、ノリで客からビンタされたりとヒドい目にあっています。まあその姿が面白いのでOKなのですが。
そんな彼は元々いじめられていたそうで、中学校の時、イジメが原因で引っ越したことがあるそうです。引っ越した先の中学では、いじられキャラがバレなかったので普通にすごしていました。
しかし、なぜかいじめっ子というのは嗅覚がするどく、たびたびちょっかいをかけられるようになりました。
「これはマズイな……」とそう感じていたところに、救世主が現れたのです。
それは、彼よりももっといじられキャラの女の子でした。転校して、みんなの前であいさつしたときから、ありがたいことにイジメのターゲットは彼女に決まってしまいました。
巨大なレンズのメガネにオカッパ頭。前髪パッツンの一直線。そして、太っているというマンガで描きやすいルックスだったのです。
初日から悪意のあるあだ名が次々とつけられました。しかし、彼女はあまり人と接することなく周りからはやし立てられてもなんのリアクションも起こしませんでした。
ただ、彼女が声をあげるのは授業中、それは突然の事でした。
国語か何かの授業のとき、突如彼女が
「来る! 来る!」
と叫びだしました。
びっくりしたみんなは一斉に彼女の方を振り向きました。
すると、どこを見るでもなく彼女は空中を指差して叫んでいました。教師も驚いていましたが、平静を取り戻すために「静かにしなさい」と彼女に言いました。
その時、彼女が
「来た!」
と叫んだのです。
すると、彼女が指差した方向の机にかかっていたカバンが落ちたのです。
そしてまた彼女が叫びました。
「来ないで!」
すると、机の横にかかっていたカバンが次から次へと落ちていきました。
それはまるで、彼女の元へ見えない何かが走っていき、その脚が当たってカバンが落ちて行く……。
みんなには見えていませんが、そんな感じでした。彼女は最後は気絶してしまい保健室に運ばれていきました。
以後も彼女はそんな感じで、「霊が来る」とか「今あそこを通った」などと霊感少女として授業をさまたげ、イジメの標的すらはずれて学校に来なくなってしまいました。
「なにが霊感だよ」「そんなのいるわけないじゃん」などクラスメートは口ぐちにバカにしていました。
ところが、イジメの標的を離れた彼は霊感があったので全部見えていたのです。転校してきてからしばらくして気づいたのですが、ずっと女性が廊下の窓から授業をのぞいているのです。
そしてたまに教室に入ってくることがあるのです。後に聞いたのですが、数年前に女性教師がその学校で自殺したそうで、恐らく彼女がさまよっていたのではないかということです。
あの霊は霊感がある彼とあの彼女にしか見えていなかったと思います。
彼もすごく気になってしょうがなかったのですが、それを言い出すと確実にイジメの標的になるので、それから卒業までの間ずっと黙っていたそうです。
霊は授業中も給食のときも、ずっとそのクラスのあちこちをふらふらと浮いていたそうです。
もちろん誰も気がつくことはなかったそうです。
結局彼は勉強に集中できず、成績がどんどん落ちていってしまいました。おかげでガラの悪い高校に通うハメになってしまい、また全力でイジメられる日々が始まったそうです。
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