AM0:44
ネタ作りのため、インターネットで色んなサイトを検索、閲覧していると、どこからどう入ったのかは覚えていないが、芸人Kはそのサイトに辿り着いた。
「自殺生中継サイト……? なんだこりゃ?」
不審に思いながらもログインしてみると、中央にライブカメラの配信映像画面があり、リアルタイムでチャットができる仕組みになっていたのだが、その時、カメラに映し出されていたのは、ただの暗闇の映像だった。
AM1:13
真っ黒の映像を眺めながら、Kは興味本意でチャットを始めた。
「こんばんは~。画面に何も映らないんだけど、どういうこと? 自殺の生中継が見れるんじゃないの?」
そう打ちこむと、すぐに
「見れるよ! 君、ココ初めてなの?」
「よろしく! ここはタイミングが命だから」「リアルすぎてビビんなよ、新人!」
「その両目で確かめな!」
と次々にチャットに書き込みがなされていった。Kは、それからしばらく見知らぬ相手とチャットを続けたらしいが、画面は依然としてそのまま、何の動きもない。
AM2:38
チャットをしていたメンバーが次々に退室し、誰もKの発言に返事をくれなくなった。
ログインしてからおよそ2時間。映像画面は相変わらず……。
「絶対、このサイトの……zz……真相を……zzz……知るまでは……zzzz」
Kは、本当に自殺の生中継映像が配信されるのか確かめるため、画面をずっと見つめていたが、ついに疲れ果て、そのまま寝てしまったらしい。
AM5:50
“ピロリロ、ピロリロ……”
携帯電話のメール着信音で、Kは目を覚ました。
「あっ、オレ寝ちゃってたんだ。やべー、もう朝じゃん!」
すでに外はぼんやりと明るくなっており、カーテンの隙間からは朝日が差し込んでいた。
Kは、あくびをしながら眠たい目を擦り、ライブカメラの配信映像を再び覗いてみると、一見、数時間前に見ていたものとなんら変わりはないように見えた。
が、映像が少し明るくなっているのに気づいた。そして、ぼんやりとではあるが、その中にテーブル、テレビ、ソファーなどが確認でき、そこはマンションの一室であることがわかった。
夜見た時はただの暗闇だったが、朝を迎え、そこにすべてが映し出されたのだ。なんら変哲のない普通のワンルーム。その空間の中にあるテーブル、テレビ、ソファー。
そして……部屋のドアノブに紐状のものを引っ掛けて首を吊り、こちらを向いたまま微動だにしない死体。
「………………」
Kは声を失った。
その後しばらくして、過去のチャット欄を確認し始めたKは、無数のチャットの中からついに自殺者本人の書き込みを発見したのだ。
遡ること約12時間前──。
PM5:58
「これから自殺するから、僕の死ぬとこ見ててよ」
年間自殺者数が3万人を超え、いまや自殺大国とも言われる、日本。
そんな我が国で、このサイトが本当に存在したのかどうか? 我々にはもはや知る由もないが、芸人Kは、あの時のあの映像が今も頭にこびり付いて離れないと言う。
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「自殺生中継サイト……? なんだこりゃ?」
不審に思いながらもログインしてみると、中央にライブカメラの配信映像画面があり、リアルタイムでチャットができる仕組みになっていたのだが、その時、カメラに映し出されていたのは、ただの暗闇の映像だった。
AM1:13
真っ黒の映像を眺めながら、Kは興味本意でチャットを始めた。
「こんばんは~。画面に何も映らないんだけど、どういうこと? 自殺の生中継が見れるんじゃないの?」
そう打ちこむと、すぐに
「見れるよ! 君、ココ初めてなの?」
「よろしく! ここはタイミングが命だから」「リアルすぎてビビんなよ、新人!」
「その両目で確かめな!」
と次々にチャットに書き込みがなされていった。Kは、それからしばらく見知らぬ相手とチャットを続けたらしいが、画面は依然としてそのまま、何の動きもない。
AM2:38
チャットをしていたメンバーが次々に退室し、誰もKの発言に返事をくれなくなった。
ログインしてからおよそ2時間。映像画面は相変わらず……。
「絶対、このサイトの……zz……真相を……zzz……知るまでは……zzzz」
Kは、本当に自殺の生中継映像が配信されるのか確かめるため、画面をずっと見つめていたが、ついに疲れ果て、そのまま寝てしまったらしい。
AM5:50
“ピロリロ、ピロリロ……”
携帯電話のメール着信音で、Kは目を覚ました。
「あっ、オレ寝ちゃってたんだ。やべー、もう朝じゃん!」
すでに外はぼんやりと明るくなっており、カーテンの隙間からは朝日が差し込んでいた。
Kは、あくびをしながら眠たい目を擦り、ライブカメラの配信映像を再び覗いてみると、一見、数時間前に見ていたものとなんら変わりはないように見えた。
が、映像が少し明るくなっているのに気づいた。そして、ぼんやりとではあるが、その中にテーブル、テレビ、ソファーなどが確認でき、そこはマンションの一室であることがわかった。
夜見た時はただの暗闇だったが、朝を迎え、そこにすべてが映し出されたのだ。なんら変哲のない普通のワンルーム。その空間の中にあるテーブル、テレビ、ソファー。
そして……部屋のドアノブに紐状のものを引っ掛けて首を吊り、こちらを向いたまま微動だにしない死体。
「………………」
Kは声を失った。
その後しばらくして、過去のチャット欄を確認し始めたKは、無数のチャットの中からついに自殺者本人の書き込みを発見したのだ。
遡ること約12時間前──。
PM5:58
「これから自殺するから、僕の死ぬとこ見ててよ」
年間自殺者数が3万人を超え、いまや自殺大国とも言われる、日本。
そんな我が国で、このサイトが本当に存在したのかどうか? 我々にはもはや知る由もないが、芸人Kは、あの時のあの映像が今も頭にこびり付いて離れないと言う。
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