その日、若手芸人のKさんは浮かれていた。
給料日で、しかも学園祭シーズンに稼いだ営業ギャラが一気に振り込まれていたからだ。彼は朝から給料明細を見てはニヤニヤしていた。
いつもの1ヵ月食べていくのがやっと程度の金額からすると数倍もの大金だった。
Kさんはさっそく街に繰り出し、欲しかった服やゲーム、そして10万円もするハードディスクレコーダーを一括で買うなど物欲の限りを満たすと、夜には後輩芸人を数人誘い焼肉を奢った。
そうして大満足で家に帰ったKさん。物欲、食欲とくれば次は性欲……。Kさんはデリバリーヘルスを呼ぶことにした。
いつもは安いピンサロ通いの彼も「この日の俺は違うぞ」と言わんばかりにパソコンで“最高級 デリバリーヘルス”と検索。
そして見つけた1時間で8万円もするデリヘルをお願いした。部屋で一人、ソワソワしながら待つKさん。
ピンポーン。
待ちに待ったインターホン。
8万円のデリヘル嬢、いったいどんな美人が来るのかと喜びいさんでドアを開けたKさんだったが、すぐに自分の目を疑った──。
そこに立っていたのは、まるで薬物中毒者のようにガリガリに痩せ細り、髪はボサボサ、右目に眼帯をしている、見るからに不気味な女だった。
そしてKさんが「どうも」と声をかけても、一言も発さず、うつむいたまま無言で立っているだけ……。
「すいません、チェンジでお願いします」
Kさんは小声でつぶやきドアを閉めた。
〈マジかよ……ほとんどボッタクリじゃん……〉テンションは一気に落ち、苛立ちさえ覚えはじめたKさん。
15分後、またインターホンが鳴った。
〈次も変な女よこしやがったら、クレーム入れてやる〉そう思いながらドアノブをひねり開けると、ビックリするくらいの美女が立っていた。
「はじめまして。サヤカです。よろしくお願いします」
Kさんの下がったテンションはまた頂点まで上がった。すぐに部屋に入れプレイをすませ、時間が少し余っていたのでピロートークを始めた。
本当に美人で性格も良かった彼女を、Kさんは本気で口説こうとしていた。
「さっきチェンジした子、怒ってなかった? 大丈夫かな」
本当はそんな心配、微塵もしていなかった。ただサヤカさんに、俺って優しいでしょ? とアピールしたいがための言葉だった。すると彼女はこう答えた。
「えっ? 私一人目ですけど?」
Kさんの背筋は一瞬にして凍りついた。
〈じゃあ最初に来た不気味な女は誰だったんだ……〉
サヤカさんが帰ってからも、不気味な女のコトが頭から離れなかった。もしかして同じマンションの住人なのか? そう思ったKさんは、翌日マンションの管理人に話を聞いてみた。
すると管理人は顔を青ざめさせながら、とある事件を教えてくれた。
実は数年前、このマンションの屋上から一人の女性が飛び降り自殺していた──。
最上階で同棲していたカップルの女性の方で、彼氏から長年DVをうけたあげくに捨てられ、ノイローゼになり飛び降りたのだという。
そしてその時、右目に眼帯をしていたというのだ……。
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給料日で、しかも学園祭シーズンに稼いだ営業ギャラが一気に振り込まれていたからだ。彼は朝から給料明細を見てはニヤニヤしていた。
いつもの1ヵ月食べていくのがやっと程度の金額からすると数倍もの大金だった。
Kさんはさっそく街に繰り出し、欲しかった服やゲーム、そして10万円もするハードディスクレコーダーを一括で買うなど物欲の限りを満たすと、夜には後輩芸人を数人誘い焼肉を奢った。
そうして大満足で家に帰ったKさん。物欲、食欲とくれば次は性欲……。Kさんはデリバリーヘルスを呼ぶことにした。
いつもは安いピンサロ通いの彼も「この日の俺は違うぞ」と言わんばかりにパソコンで“最高級 デリバリーヘルス”と検索。
そして見つけた1時間で8万円もするデリヘルをお願いした。部屋で一人、ソワソワしながら待つKさん。
ピンポーン。
待ちに待ったインターホン。
8万円のデリヘル嬢、いったいどんな美人が来るのかと喜びいさんでドアを開けたKさんだったが、すぐに自分の目を疑った──。
そこに立っていたのは、まるで薬物中毒者のようにガリガリに痩せ細り、髪はボサボサ、右目に眼帯をしている、見るからに不気味な女だった。
そしてKさんが「どうも」と声をかけても、一言も発さず、うつむいたまま無言で立っているだけ……。
「すいません、チェンジでお願いします」
Kさんは小声でつぶやきドアを閉めた。
〈マジかよ……ほとんどボッタクリじゃん……〉テンションは一気に落ち、苛立ちさえ覚えはじめたKさん。
15分後、またインターホンが鳴った。
〈次も変な女よこしやがったら、クレーム入れてやる〉そう思いながらドアノブをひねり開けると、ビックリするくらいの美女が立っていた。
「はじめまして。サヤカです。よろしくお願いします」
Kさんの下がったテンションはまた頂点まで上がった。すぐに部屋に入れプレイをすませ、時間が少し余っていたのでピロートークを始めた。
本当に美人で性格も良かった彼女を、Kさんは本気で口説こうとしていた。
「さっきチェンジした子、怒ってなかった? 大丈夫かな」
本当はそんな心配、微塵もしていなかった。ただサヤカさんに、俺って優しいでしょ? とアピールしたいがための言葉だった。すると彼女はこう答えた。
「えっ? 私一人目ですけど?」
Kさんの背筋は一瞬にして凍りついた。
〈じゃあ最初に来た不気味な女は誰だったんだ……〉
サヤカさんが帰ってからも、不気味な女のコトが頭から離れなかった。もしかして同じマンションの住人なのか? そう思ったKさんは、翌日マンションの管理人に話を聞いてみた。
すると管理人は顔を青ざめさせながら、とある事件を教えてくれた。
実は数年前、このマンションの屋上から一人の女性が飛び降り自殺していた──。
最上階で同棲していたカップルの女性の方で、彼氏から長年DVをうけたあげくに捨てられ、ノイローゼになり飛び降りたのだという。
そしてその時、右目に眼帯をしていたというのだ……。
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