今は芸能界を引退している、元アイドルNさんから聞いた話です。
Nさんはバブル全盛期にセクシー系アイドルとしてデビュー。
当時はテレビ局にも予算が潤沢にあった時代で、Nさんなどアイドル達はMCの後ろのひな壇に座っているだけで10万単位のギャラが貰えたとのこと。
レギュラー5本を抱えていた絶頂期には、家賃ウン十万もする都心の高層マンションに住んでいたそうです。
そんなある日、Nさんは深夜まで続いた収録を終えタクシーで自宅に向かっていました。
その時は近くの24時間スーパーに寄って買い物をしてから帰ろうと思い、自宅から少し離れたところで降ろして貰ったそうです。
買い物をしてスーパー袋を両手に持ちながら歩いていると……細い路地の前方からバイクのヘッドライトが見えました。狭い路地裏なのに、かなり飛ばしている様子でした。
危ないなあ、と道の脇によけたNさん。その瞬間でした。
正面から迫りくるバイクが彼女の方向にグイっと車体をひねらせると、ライダーはその勢いのまま彼女の顔面をグーで殴打したのです。
ゴキン!!
鈍い音が深夜の住宅街に響きました。Nさんは後ろに吹っ飛び、何が起きたのか分からず放心状態。頭はクラクラして、鼻からは生温かい血がドロドロと流れていました。
バイクはそのまま走り去ると、すぐに闇夜に消えてしまいました。あまりに一瞬の出来事で、男か女かも分からなかったそうです。
恐怖と痛み、鼻から流れ出る大量の血……。
Nさんは立ち上がることもできず、体をガタガタと震わせながら路上でうずくまっていました。
すると後ろから走ってきたワゴンが彼女に横付けするように停まり、一人の男が急いだ様子で駆け下りてきました。
「Nさんじゃないですか! どうしたんですか? 大丈夫ですか?」
同じ事務所の新人男性マネージャーでした。偶然にもその道を通りかかったそうで、血だらけのNさんを見つけてビックリした様子でした。
「とにかく早く病院に行きましょう。乗ってください。」
彼女に肩を貸して車に乗せるマネージャー。少し安堵したNさんは、せきを切ったように泣きじゃくってしまったそうです。
「しかし世の中悪いヤツがいるもんですね。いきなりバイクに乗ったまま殴ってくるなんて……。」
マネージャーの口をついた、その言葉にNさんは強烈な違和感を覚えました。
そのとき彼女はまだ一度も、何故ケガをしたのか、何故うずくまっていたのかを彼に伝えていなかったのです。
〈何でそこまで詳しく知ってるの……?〉彼女は疑い始めました。殴られた瞬間を見ていたとしたら、すぐに駆けつけてくれるはず。
でも彼が来たのは、それから5分は経ってからでした。だとしたら彼がそれを知っている理由は……?
「もう大丈夫、自分で歩いていくから降ろして。」
「いやいや病院まで行きますから。安心してください、ね?」
そう言葉を交わした刹那、彼女は見つけてしまったのです。ハンドルを握るマネージャーの右手に、血痕を急いで拭きとったようなシミが残っているのを──。
「お願い…… 降ろして…… 降ろしてください……」
声を震わせながら訴える彼女を無視して、彼は車を走らせ続ると薄暗い山道にある駐車場に停車させました。
そして大きな咳払いを一度すると、
「抵抗したらまたぶん殴るから」
とボソっと呟きNさんを押し倒してきたのです。彼女は咄嗟にバッグに入れていた護身用スタンガンを取り出し、彼の顔めがけてくらわせました。
バチン! という電気音と共に彼は後ろに大きくのけぞりました。彼女は急いで車から飛び降り、走って近くの民家に逃げ込みました。
彼はそこまでは追ってこなかったそうですが……。
後日、その新人マネージャーは傷害罪で逮捕されました。
無論、バイクに乗りながらNさんを殴ったのも彼でした。実はもともとNさんの熱狂的ファンだった彼はNさんと近づくために同じ事務所に入社し、この計画をくわだて実行したのです──。
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Nさんはバブル全盛期にセクシー系アイドルとしてデビュー。
当時はテレビ局にも予算が潤沢にあった時代で、Nさんなどアイドル達はMCの後ろのひな壇に座っているだけで10万単位のギャラが貰えたとのこと。
レギュラー5本を抱えていた絶頂期には、家賃ウン十万もする都心の高層マンションに住んでいたそうです。
そんなある日、Nさんは深夜まで続いた収録を終えタクシーで自宅に向かっていました。
その時は近くの24時間スーパーに寄って買い物をしてから帰ろうと思い、自宅から少し離れたところで降ろして貰ったそうです。
買い物をしてスーパー袋を両手に持ちながら歩いていると……細い路地の前方からバイクのヘッドライトが見えました。狭い路地裏なのに、かなり飛ばしている様子でした。
危ないなあ、と道の脇によけたNさん。その瞬間でした。
正面から迫りくるバイクが彼女の方向にグイっと車体をひねらせると、ライダーはその勢いのまま彼女の顔面をグーで殴打したのです。
ゴキン!!
鈍い音が深夜の住宅街に響きました。Nさんは後ろに吹っ飛び、何が起きたのか分からず放心状態。頭はクラクラして、鼻からは生温かい血がドロドロと流れていました。
バイクはそのまま走り去ると、すぐに闇夜に消えてしまいました。あまりに一瞬の出来事で、男か女かも分からなかったそうです。
恐怖と痛み、鼻から流れ出る大量の血……。
Nさんは立ち上がることもできず、体をガタガタと震わせながら路上でうずくまっていました。
すると後ろから走ってきたワゴンが彼女に横付けするように停まり、一人の男が急いだ様子で駆け下りてきました。
「Nさんじゃないですか! どうしたんですか? 大丈夫ですか?」
同じ事務所の新人男性マネージャーでした。偶然にもその道を通りかかったそうで、血だらけのNさんを見つけてビックリした様子でした。
「とにかく早く病院に行きましょう。乗ってください。」
彼女に肩を貸して車に乗せるマネージャー。少し安堵したNさんは、せきを切ったように泣きじゃくってしまったそうです。
「しかし世の中悪いヤツがいるもんですね。いきなりバイクに乗ったまま殴ってくるなんて……。」
マネージャーの口をついた、その言葉にNさんは強烈な違和感を覚えました。
そのとき彼女はまだ一度も、何故ケガをしたのか、何故うずくまっていたのかを彼に伝えていなかったのです。
〈何でそこまで詳しく知ってるの……?〉彼女は疑い始めました。殴られた瞬間を見ていたとしたら、すぐに駆けつけてくれるはず。
でも彼が来たのは、それから5分は経ってからでした。だとしたら彼がそれを知っている理由は……?
「もう大丈夫、自分で歩いていくから降ろして。」
「いやいや病院まで行きますから。安心してください、ね?」
そう言葉を交わした刹那、彼女は見つけてしまったのです。ハンドルを握るマネージャーの右手に、血痕を急いで拭きとったようなシミが残っているのを──。
「お願い…… 降ろして…… 降ろしてください……」
声を震わせながら訴える彼女を無視して、彼は車を走らせ続ると薄暗い山道にある駐車場に停車させました。
そして大きな咳払いを一度すると、
「抵抗したらまたぶん殴るから」
とボソっと呟きNさんを押し倒してきたのです。彼女は咄嗟にバッグに入れていた護身用スタンガンを取り出し、彼の顔めがけてくらわせました。
バチン! という電気音と共に彼は後ろに大きくのけぞりました。彼女は急いで車から飛び降り、走って近くの民家に逃げ込みました。
彼はそこまでは追ってこなかったそうですが……。
後日、その新人マネージャーは傷害罪で逮捕されました。
無論、バイクに乗りながらNさんを殴ったのも彼でした。実はもともとNさんの熱狂的ファンだった彼はNさんと近づくために同じ事務所に入社し、この計画をくわだて実行したのです──。
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