今も昔も大人数のアイドルグループの場合、誰もがセンターに憧れる。センターに立つためには同じグループの仲間を蹴落としたり、裏ではさまざまな争いが行われている。
これは、まだローカル番組の仕事しかこないような駆け出しのアイドルグループNに所属していたミカちゃん(仮名)が経験した恐怖体験。
アイドルグループNは10代~20代前半までの7人で構成されていて、ミカちゃんは年齢では上から2番目だったが、芸歴は長く中では1番先輩だった。
でも、アイドルの場合先輩だからセンターに立てる訳じゃなく、やはり華がある人だったり、人気がある人がセンターに立つことができる。
ミカちゃんは、向上心が高くプライドも高かったので、いつも2番目でセンターの横という自分のポジションに不満だった。
センターに立つのはいつもグループの中で1番若いアズちゃん(仮名)だった。
アズちゃんはミカちゃんや他のメンバーのようにオーディションで入ってきたわけではなく、スカウトで突然入ってきてセンターというポジションを獲得した、いわばエリートだった。
そんなアズちゃんに他のメンバーは、あからさまに敵意は見せないものの不満がないわけがなかった。
でも、会社が決めた事だからと受け入れて、みんないつか自分がセンターを取る為に必死で頑張った。
当時、毎月2回、アイドルグループNがレギュラーの番組がローカルで放送されていた。その番組はMC2人とグループNの7人がスタジオに座り、VTRを見ながらトークをするという番組だった。
スタジオのセットがちょっと特殊な形をしているせいで、座り位置が、最前列に1人、2列目に2人、3列目に4人という形になる。ミカちゃんはこのセットに座る度に2列目という事が悔しくてしょうがなかった。
だから頑張った。
コメントのパターンを家でたくさん考えてきて、スタジオではアズちゃんより目立てるようにどんどん発言した。
その頑張りがディレクターの目に留まり、席替えというノリでミカちゃんがセンターに座れるようにしてくれた。初めてセンターに座れる収録の日。
いつもより予習をしてコメントやエピソードもたくさん用意して万全で臨んだ。1本目のVTRを目の前のモニターで見ながら、VTRが終わった時用のコメントを考えていた。
失敗は出来ないと緊張していたらVTRが終わりモニターの明かりが消え、スタジオが暗くなった。するとそのモニターに反射してちょうど7人が鏡のように映しだされた。
ミカちゃんは瞬時に違和感を感じた。モニターに映るメンバーをよく見てみると3列目の左端の子の肩に手が乗っかっていた。
ビックリしてつい振り返って見たが肩には何もない。でもモニターを見ると肩に手がある。
パニックになっているところに何も知らないMCがミカちゃんにコメントを求めてきた。パニックで頭が真っ白になっていたので口籠ってしまい、上手くしゃべれなかった。
2本目のVTRになったが、鼓動が早くなって内容が全然頭に入ってこない。そしてまたVTRが終わりモニターの明かりが消えた。
その瞬間、ミカちゃんはさらにビックリした。今度はモニターに映るメンバーの2列目の子の肩にあの手が乗っていた。
どんどん近付いて来ている。
かなり焦ったが振り返るとやはり手はない。
パニック状態だったがどうにか必死で平静を装っていると最後のVTRが始まった。ミカちゃんはもうVTRの内容なんてどうでもよくなっていた。
VTRが終わりに近づいて緊張が一気に増し、モニターの明かりが消えた。恐る恐るモニターを見ると、自分の肩にあの手は乗っていた。
そしてその手がミカちゃんの首元に移動してきた時、MCが番組の最後のシメ台詞を叫んだ。
その声で我に返った。
放心状態のまま楽屋に戻ると、案の定ディレクターに呼ばれた。せっかくセンターに置いてくれたのに何も仕事が出来なかったので、怒られて当然だった。
もうセンターになるチャンスはないだろうと感じた。あれ以来、アズちゃん以外がセンターになる事が度々あったが、決まって体調を崩したり、大きな失敗をしたりした。
原因はわからないがアズちゃんだけは、今も元気にセンターで笑っているらしい。
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これは、まだローカル番組の仕事しかこないような駆け出しのアイドルグループNに所属していたミカちゃん(仮名)が経験した恐怖体験。
アイドルグループNは10代~20代前半までの7人で構成されていて、ミカちゃんは年齢では上から2番目だったが、芸歴は長く中では1番先輩だった。
でも、アイドルの場合先輩だからセンターに立てる訳じゃなく、やはり華がある人だったり、人気がある人がセンターに立つことができる。
ミカちゃんは、向上心が高くプライドも高かったので、いつも2番目でセンターの横という自分のポジションに不満だった。
センターに立つのはいつもグループの中で1番若いアズちゃん(仮名)だった。
アズちゃんはミカちゃんや他のメンバーのようにオーディションで入ってきたわけではなく、スカウトで突然入ってきてセンターというポジションを獲得した、いわばエリートだった。
そんなアズちゃんに他のメンバーは、あからさまに敵意は見せないものの不満がないわけがなかった。
でも、会社が決めた事だからと受け入れて、みんないつか自分がセンターを取る為に必死で頑張った。
当時、毎月2回、アイドルグループNがレギュラーの番組がローカルで放送されていた。その番組はMC2人とグループNの7人がスタジオに座り、VTRを見ながらトークをするという番組だった。
スタジオのセットがちょっと特殊な形をしているせいで、座り位置が、最前列に1人、2列目に2人、3列目に4人という形になる。ミカちゃんはこのセットに座る度に2列目という事が悔しくてしょうがなかった。
だから頑張った。
コメントのパターンを家でたくさん考えてきて、スタジオではアズちゃんより目立てるようにどんどん発言した。
その頑張りがディレクターの目に留まり、席替えというノリでミカちゃんがセンターに座れるようにしてくれた。初めてセンターに座れる収録の日。
いつもより予習をしてコメントやエピソードもたくさん用意して万全で臨んだ。1本目のVTRを目の前のモニターで見ながら、VTRが終わった時用のコメントを考えていた。
失敗は出来ないと緊張していたらVTRが終わりモニターの明かりが消え、スタジオが暗くなった。するとそのモニターに反射してちょうど7人が鏡のように映しだされた。
ミカちゃんは瞬時に違和感を感じた。モニターに映るメンバーをよく見てみると3列目の左端の子の肩に手が乗っかっていた。
ビックリしてつい振り返って見たが肩には何もない。でもモニターを見ると肩に手がある。
パニックになっているところに何も知らないMCがミカちゃんにコメントを求めてきた。パニックで頭が真っ白になっていたので口籠ってしまい、上手くしゃべれなかった。
2本目のVTRになったが、鼓動が早くなって内容が全然頭に入ってこない。そしてまたVTRが終わりモニターの明かりが消えた。
その瞬間、ミカちゃんはさらにビックリした。今度はモニターに映るメンバーの2列目の子の肩にあの手が乗っていた。
どんどん近付いて来ている。
かなり焦ったが振り返るとやはり手はない。
パニック状態だったがどうにか必死で平静を装っていると最後のVTRが始まった。ミカちゃんはもうVTRの内容なんてどうでもよくなっていた。
VTRが終わりに近づいて緊張が一気に増し、モニターの明かりが消えた。恐る恐るモニターを見ると、自分の肩にあの手は乗っていた。
そしてその手がミカちゃんの首元に移動してきた時、MCが番組の最後のシメ台詞を叫んだ。
その声で我に返った。
放心状態のまま楽屋に戻ると、案の定ディレクターに呼ばれた。せっかくセンターに置いてくれたのに何も仕事が出来なかったので、怒られて当然だった。
もうセンターになるチャンスはないだろうと感じた。あれ以来、アズちゃん以外がセンターになる事が度々あったが、決まって体調を崩したり、大きな失敗をしたりした。
原因はわからないがアズちゃんだけは、今も元気にセンターで笑っているらしい。
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