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子供番組でよく目にするのが、体操のお兄さんと子供たちが曲に合わせ一緒にダンスするというモノ。子供番組において往年の手法であり伝統でもある。

小さい頃にテレビを見ながら一緒に踊っていたという人も多いだろう。

あれで面白いのが、ダンスが上手い子もいれば、元気は良いけど間違ってる子、恥ずかしくてイマイチ踊りきれてない子……その子の性格やノリの良さが如実に出ることだ。

あえてあまり練習させずに収録しているのかどうかは分からないが。十人十色で面白いモノである。

余談だが、もしも小学校でクラスを初担任で受け持つ先生は、まずみんなでダンスをさせれば各生徒の性格やキャラを一瞬で把握できると思うのだが。

そんな子供番組のダンスコーナーを担当していたディレクターから聞いた、こんな話がある。

ある日のオンエアーが終わった後、局に大量の苦情が入ったという。しかもその全てが彼の担当しているダンスコーナーに対する苦情だったのだ。

すぐに彼のもとにプロデューサーから怒りの電話が来た。「お前な、ちょっとは考えろバカ野郎!」しかし彼にはその意味がわからなかった。

「いつもと何ら変わらないはずなのにどうして……」彼は急いで局に向かいプロデューサーの待つ会議室に飛び込んだ。

そこには局のお偉いさんが勢揃いで全員の顔は青ざめていた。

「こんなモノ流していいと思ってるのか?」見せられたオンエアー映像を見て彼は言葉を失った。楽しそうに踊る子供たちの中に1人だけ、無表情で立ち尽くしている男の子がいたのだ。

周りの子供はその男児に気づく様子もなく笑顔で踊っている。まるで存在そのものが無いかのように。

あまりにも不気味な光景だった。しかしそれだけならまだ良かった。周りの子供たちがその男児の体をすり抜けているのだ──。

この恐ろしい映像が全国放送で流れてしまったのである。父兄から苦情がくるのも頷けるが、彼いわく編集段階ではこの男児はいなかったという。

オンエアー時に突如現れたのだ。そして、このエピソードにはおぞましい続きがある。

苦情はその1度では済まなかった。その回の番組に苦情を入れた父兄たちが、自宅でその男児を見るようになったというのである。

金縛りにあい目を開けたら男児が立っていたり、夜中に廊下を曲がったら出くわしたり……。

中には車内のバックミラーに突然男児が現れて交通事故にあったという父親もいた。

後々判明した事なのだが、男児はオンエアー後に強い口調で苦情を入れた父兄だけを選んでいるかのように現れていた。

まるで自分を罵倒否定した者を選んで不幸を運びにいくかのように……。

彼は番組スタッフと一緒にオンエアー時のテープを供養して貰うためお寺に行った。

その映像をお坊さんに見せたところ、なんと数年前にも同じように子供番組のスタッフが供養してと持ち込んだテープにも同じ男児がうつりこんでいたという。

いわく、イジメと仲間外れを苦に自殺してしまった男の子で、友達を求めて子供番組のスタジオに現れているのだという。

だとすれば、今後もどこかの子供番組で現れる可能性は捨てきれない。

そして、もしも貴方が見てしまったとしても、苦情だけは入れてはならない。
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