某キー局女子アナの真紀さん(仮)には、姉がいます。
しかし、真紀さんが大学を卒業してテレビ局へ入社した年に、姉の恵理さん(仮)は心を病んでしまい、部屋に引きこもったきり、家族の誰とも口を利かなくなってしまいました。
理由は、嫉妬です。実は、姉の恵理さんもかつては女子アナ志望で、大学卒業と同時にキー局や地方局などを多数受けたのですが、その全てに落ちてしまったのです。
最近では、真紀さんは恵理さんのことが気味悪くなり、持て余しているというのが実情です。
そして、何よりも恐れているのは、芸能マスコミに病んだ姉のことを知られてしまうことでした。
ただでさえ病んでいる姉なのに、テレビや雑誌であるコトないコト言われたらさらに心に傷を負うだろうし、正直な話、自分のイメージダウンに繋がると思っていたからです。
ある深夜、家族が寝静まった自宅へ戻ると、電気の消えたリビングで恵理さんがボンヤリと座っていました。わが姉ながら、さすがに薄気味悪く、恐怖すら感じます。
「お姉ちゃん、こんな時間に何してるの」
「………」
恵理さんは妹の言葉を無視するように、ゆっくりと体を上げ自室へ向かい始めました。そして、真紀さんとすれ違う瞬間、彼女の耳元でこう囁きました。
「私だってテレビに出れるもん」
「…えっ、どういうこと?」
真紀さんがそう問いかけたときには、すでに恵理さんは自室に通じる階段を上り始めていました。
真紀さんは言葉の意味が分からず、少し茫然としたあと、自分も部屋へと戻りました。
ベッドに入った真紀さん。途端、1日の疲れがどっと出たのか、すぐにウトウトし始めました。
すると、急に頭の中で甲高い金属音が鳴り響き、身体を動かそうとしても全く動きません。
俗に言う「金縛り」の状態です。胸が苦しくなり、声を出そうとしても、かすれ声しか出せません。
どうにか力を振り絞り目を開けると……、頭から大量の血を流し片目が飛び出ている女が、窓の外から真紀さんを睨みつけています。〈いやぁぁぁ〉心の中で大声で叫ぶ真紀さん。
すると、その血だらけ女はカギのかかった窓ガラスをギギギと開け、真紀さんの目の前に顔をぐんっと近づけてきました。
〈……え? お姉ちゃん?〉
近くで見ると、その血だらけ女は姉の恵理でした。そう気付いた瞬間、金縛りは一気に解けました。
「はぁ、はぁ、はぁ…」金縛りの幻覚とは分かりながらも、あまりの怖さに体の震えが止まらない美紀さん。すると窓の外から、救急車のサイレンが聞こえました。
それはドンドン近づいてきて、美紀さん一家の住むマンション下に停車しました。間もなく「ピンポーン」とインターホンの音。
「こんな夜中に誰……なに……?」
美紀さんが玄関カメラを見ると、そこには救急隊員がいました。
「そちらの部屋から、女性が飛び降りました。
今から緊急搬送するのでご同行願います」
飛び降りたのは、姉の恵理でした──。
12階から。即死でした。
次の日、それは全国ニュースで大きく報じられました。
〈人気女子アナ○○の実姉、飛び降り自殺!!〉
「私だってテレビに出れるもん」
そういうことだったのです──。
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しかし、真紀さんが大学を卒業してテレビ局へ入社した年に、姉の恵理さん(仮)は心を病んでしまい、部屋に引きこもったきり、家族の誰とも口を利かなくなってしまいました。
理由は、嫉妬です。実は、姉の恵理さんもかつては女子アナ志望で、大学卒業と同時にキー局や地方局などを多数受けたのですが、その全てに落ちてしまったのです。
最近では、真紀さんは恵理さんのことが気味悪くなり、持て余しているというのが実情です。
そして、何よりも恐れているのは、芸能マスコミに病んだ姉のことを知られてしまうことでした。
ただでさえ病んでいる姉なのに、テレビや雑誌であるコトないコト言われたらさらに心に傷を負うだろうし、正直な話、自分のイメージダウンに繋がると思っていたからです。
ある深夜、家族が寝静まった自宅へ戻ると、電気の消えたリビングで恵理さんがボンヤリと座っていました。わが姉ながら、さすがに薄気味悪く、恐怖すら感じます。
「お姉ちゃん、こんな時間に何してるの」
「………」
恵理さんは妹の言葉を無視するように、ゆっくりと体を上げ自室へ向かい始めました。そして、真紀さんとすれ違う瞬間、彼女の耳元でこう囁きました。
「私だってテレビに出れるもん」
「…えっ、どういうこと?」
真紀さんがそう問いかけたときには、すでに恵理さんは自室に通じる階段を上り始めていました。
真紀さんは言葉の意味が分からず、少し茫然としたあと、自分も部屋へと戻りました。
ベッドに入った真紀さん。途端、1日の疲れがどっと出たのか、すぐにウトウトし始めました。
すると、急に頭の中で甲高い金属音が鳴り響き、身体を動かそうとしても全く動きません。
俗に言う「金縛り」の状態です。胸が苦しくなり、声を出そうとしても、かすれ声しか出せません。
どうにか力を振り絞り目を開けると……、頭から大量の血を流し片目が飛び出ている女が、窓の外から真紀さんを睨みつけています。〈いやぁぁぁ〉心の中で大声で叫ぶ真紀さん。
すると、その血だらけ女はカギのかかった窓ガラスをギギギと開け、真紀さんの目の前に顔をぐんっと近づけてきました。
〈……え? お姉ちゃん?〉
近くで見ると、その血だらけ女は姉の恵理でした。そう気付いた瞬間、金縛りは一気に解けました。
「はぁ、はぁ、はぁ…」金縛りの幻覚とは分かりながらも、あまりの怖さに体の震えが止まらない美紀さん。すると窓の外から、救急車のサイレンが聞こえました。
それはドンドン近づいてきて、美紀さん一家の住むマンション下に停車しました。間もなく「ピンポーン」とインターホンの音。
「こんな夜中に誰……なに……?」
美紀さんが玄関カメラを見ると、そこには救急隊員がいました。
「そちらの部屋から、女性が飛び降りました。
今から緊急搬送するのでご同行願います」
飛び降りたのは、姉の恵理でした──。
12階から。即死でした。
次の日、それは全国ニュースで大きく報じられました。
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