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僕は独身で子供もいません。
いきなりタイトルと矛盾してしますが、とにかく話を聞いて下さい。

ある日の夜中、放送作家の僕は特番の台本をせっせと書いていました。机にはブラックコーヒーとブラックガム。

必死に眠気と戦いながら一通り書き終えた僕は、窓を開けてタバコをぷかぷかと吹かしていました。すると、窓から見える公園に子供が一人、ブランコで遊んでいるのを発見しました。

最初は何とも思っていませんでしたが、よく考えたら今は深夜2時です。とてもじゃないけど子供が遊ぶ時間ではありません。

しかも一人で…。

不思議に思いながらジッと観察していると、急に子供が僕の方を振り向きました。バチッと目が合った瞬間、体中に何とも言えない悪寒が駆け巡りました。

「シャッッ」僕は咄嗟にカーテンを閉め、窓に背中を向けました。まるで動悸を起こしているみたいに心臓がバクバクしています。

そのまま寝てしまおうと思ったのですが、どうしてもあの子供が気になった僕は勇気を出してもう一度カーテンを開け、公園のブランコを見てみました。

子供の姿はありませんでした。しかし、ブランコはまだ不気味に揺れていました。

「どこに行ったんだろう」と窓から身を乗り出し、公園周辺を見回しましたが、姿は見当たりませんでした。

「まさか幽霊……?」怖くなった僕はベッドに潜り込み、無理やり眠りにつきました。

次の日から、僕はパパになりました。

僕の家や行く先々に、公園で見た子供の幽霊が現れるようになったのです。初めの何日かは怖くて怖くて仕方なかったのですが、不思議なもので何日も経つと慣れてしまいました。

とはいえ、このまま一生過ごすわけにはいかないと思っていた僕は、仕事の合間をぬって神社に行き、神主さんに見て貰いました。すると神主さんは僕を見て、

「幽霊なんてついてませんよ」と言います。

「いやでも……毎日見るんですよ」と食い下がる僕に「もしかして車で来てます?」と神主さん。

駐車場にある僕の車を見た神主さんは

「いますね、車であなたの帰りを待っています」と言いました。

詳しく話を聞くと、戦時中に空襲で死んだ子供の幽霊が、貴方を親だと思ってついてきています……とのこと。

「そんなこと言われても……どうしたらいいんですか?」と聞くと、

「この子供に悪意はないので除霊はしません。
ただ、本当の親のところへ連れて行ってあげて下さい」と言います。

後日、僕は神主さんのすすめで東京にある集団墓地を訪れました。

神主さんいわく

「一番気持ち悪いと感じたお墓の前で手を合わせなさい」とのこと。

そんな事言われても……。
と思いつつ僕はブラブラと墓地を回っていました。

すると、ひとつの墓石の前で、冷凍庫を開けた瞬間のような冷気を体に感じました。「まさか……」僕はその墓石の前で手を合わせました。

その後、子供の姿を見ることはなくなりました。無事両親のところに帰れたのだと、僕は信じています。
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