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おそらくラジオ業界ではもう周知の事実となっているかも知れないが、かつて東京・四ッ谷にあった○○放送の旧局舎は、もともとキリスト教の修道院だった。

三階に「調整室」という部屋があり、ここはもっぱら“出る”という噂だった。

また実際に数多くの目撃者も存在し、私が懇意にしている○○放送の元社員Tも、その一人である。

Tはその日、くだんの「調整室」で編集作業に没頭していた。夜中十二時を回っても家路にはつけず、眠たい目をこすりながら不眠不休で頑張っていた。

二時を回ったころである。彼は少し仮眠をとろうと考えたらしい。椅子ふたつを並べて簡単なベッドを作り、靴を脱いで横たわった。

そのまま寝すごしてしまわないよう携帯のアラームをセットする。三十分後、Tは目を覚ました。彼は寝ぼけまなこのまま携帯をたぐりよせ、アラームを切った。

しかし、切れなかった。音は鳴り続けている。そこで彼はようやくわかった。この音は……アラームの音じゃない。

Tが片目をうっすら開き見ると、やはり携帯のアラームはまだセット時刻になっておらず、その何かの音はどこからともなく聞こえていた。

バチン……。バチン……。

まるで革製のベルトで何かを叩いているような音だった。しかしTは、まだ半分脳みそが起きていなかったのか「チッ、うるせなぁ」程度で済ませ、再び目を閉じたという。

しかし閉じてすぐ、また目を覚ました。彼は気づいたのだ。この音は、この部屋の中で鳴っている。

彼はがばりと起きた。
あわてて左右を見回す。
……が、誰もいない。
でも音は聞こえる。

バチン……バチン……

音はしだいに大きくなっていった。
恐ろしくなったTは部屋を飛び出した。

そのときに聞いた。
女のすすり泣くような声を。

部屋の隅にぼうっと白い塊が浮かび上がったかと思うと、そこに黒く細長い影がすごい勢いで飛びかかり、そのたびあのバチンという乾いた音は無慈悲に鳴り続けたという。

後日、Tは調整室にまつわる黒い噂を聞いた。
あの部屋はかつて、キリスト修道院の「折檻部屋」だったらしいのだ。

しかし、あの身を切るように痛々しい光景を見てしまった彼は、私にこう言った。

「あれは度を超えてる。あそこは折檻部屋じゃなくて、○○部屋だったんだよ」

その放送局は数年前、浜松町に移転した。それと同時に旧局舎も解体され、今ではあるマンションが建っている。
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