どこの学校にも七不思議というものが存在し、生徒たちの間で秘かに囁かれている。ある報道番組の取材を受けて下さったK県の私立高校にもそれはあった。
取材に訪れた日、私たちスタッフがカメラを持って校内を見回ると、大勢の生徒たちが集まってきてやいのやいの騒ぎ立てた。
(なんの取材かは言えません。たぶんどの学校かれてしまいますから)
そのとき、一人の女子生徒が私にこう声をかけてきた。
「あの部屋のことですか?」
私は何のことかわからなかった。
だから逆に
「あの部屋って何ですか?」
と聞き返すと、彼女たち数人のグループは
「えー。違うんだー」
とまた意味もなく騒いでいた。
私はどうしてもそのことが気になったので、下校する前の彼女を見つけ問いただすと、それはこういうことだった。
一階にある職員室。その隣りは校長室。外から見ても、このふたつの部屋はもちろん隣りあっている。
ただ彼女がそう言ったように何かしらの違和感を覚えるのだ。
「何が変だかわかります?」
「うーん……」
私はその二つの部屋を見比べつつ首をひねってしまった。
「中から見てないからわからないのかなぁ」
と彼女は言った。
「中から?」
「はい。校舎の中の廊下に立って、あのふたつの部屋を見比べて、それから外に出てこうして見てみると、ある違いに気づくはずなんですけど」
しかし私はすでに中を見ている。さっきまで校長室にいたし、取材を許諾してくれた校長にお礼を述べて、廊下に出て、職員室の前を通って外に出てきたのだ。
そのときの記憶を思い返してみる。あのときと今見てるこの光景の、違い……?結局私はギブアップしてしまった。すると彼女はそれは嬉しそうに答えを明かしてくれた。
「ふたつの部屋の間に窓があるじゃないですか」
あ……。
「あの窓、どこの部屋の窓です?」
私はようやくわかった。そうか、今はすべてのカーテンが閉まっているから紛らわしいが、職員室と校長室そのちょうど中間地点にあの窓はある。
しかしあの位置では、部屋と部屋の仕切りで窓を二分してしまう。まさかそんなへんてこな作りになっているわけはないから、つまり——
「もうひとつ部屋がある」
私の答えに彼女は満足げな笑みを浮かべた。
「開かずの間なんです」
それは職員室と校長室に挟まれた小さな小さな部屋らしい。
「廊下からは入口のドアが見えないように、前にロッカーを並べて隠してあるんです」
と彼女は言った。
「なんで隠すの?」
「わかりません。これはもう卒業した人の話ですけど、前に三年生の男子が夜中に侵入したらしくて、ロッカーどけて中に入ってみたら天井からロープが下がってたんですって」
「ロープ?」
「はい。上からすうっと垂れてきて、最後が輪っかになってて。その下に、人ひとりが乗れるくらいの小さな木の台があったとか」
「何それ。超こわいじゃん」
「ここらへんでは有名な話ですよ。だからその取材に来たのかと思ったんです」
どんな取材だというのだ。しかし彼女が言うように、その学校はその筋では本当に有名だった。
後日調べてみると、その卒業生が見たというのと全く同じ光景が記録されていた。
存在を隠すということは、学校側にどんな後ろめたい過去があるのか知れないけれど、世の中には自分の知らない不思議な話がまだまだあるのだなぁとつくづく思うのだった。
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取材に訪れた日、私たちスタッフがカメラを持って校内を見回ると、大勢の生徒たちが集まってきてやいのやいの騒ぎ立てた。
(なんの取材かは言えません。たぶんどの学校かれてしまいますから)
そのとき、一人の女子生徒が私にこう声をかけてきた。
「あの部屋のことですか?」
私は何のことかわからなかった。
だから逆に
「あの部屋って何ですか?」
と聞き返すと、彼女たち数人のグループは
「えー。違うんだー」
とまた意味もなく騒いでいた。
私はどうしてもそのことが気になったので、下校する前の彼女を見つけ問いただすと、それはこういうことだった。
一階にある職員室。その隣りは校長室。外から見ても、このふたつの部屋はもちろん隣りあっている。
ただ彼女がそう言ったように何かしらの違和感を覚えるのだ。
「何が変だかわかります?」
「うーん……」
私はその二つの部屋を見比べつつ首をひねってしまった。
「中から見てないからわからないのかなぁ」
と彼女は言った。
「中から?」
「はい。校舎の中の廊下に立って、あのふたつの部屋を見比べて、それから外に出てこうして見てみると、ある違いに気づくはずなんですけど」
しかし私はすでに中を見ている。さっきまで校長室にいたし、取材を許諾してくれた校長にお礼を述べて、廊下に出て、職員室の前を通って外に出てきたのだ。
そのときの記憶を思い返してみる。あのときと今見てるこの光景の、違い……?結局私はギブアップしてしまった。すると彼女はそれは嬉しそうに答えを明かしてくれた。
「ふたつの部屋の間に窓があるじゃないですか」
あ……。
「あの窓、どこの部屋の窓です?」
私はようやくわかった。そうか、今はすべてのカーテンが閉まっているから紛らわしいが、職員室と校長室そのちょうど中間地点にあの窓はある。
しかしあの位置では、部屋と部屋の仕切りで窓を二分してしまう。まさかそんなへんてこな作りになっているわけはないから、つまり——
「もうひとつ部屋がある」
私の答えに彼女は満足げな笑みを浮かべた。
「開かずの間なんです」
それは職員室と校長室に挟まれた小さな小さな部屋らしい。
「廊下からは入口のドアが見えないように、前にロッカーを並べて隠してあるんです」
と彼女は言った。
「なんで隠すの?」
「わかりません。これはもう卒業した人の話ですけど、前に三年生の男子が夜中に侵入したらしくて、ロッカーどけて中に入ってみたら天井からロープが下がってたんですって」
「ロープ?」
「はい。上からすうっと垂れてきて、最後が輪っかになってて。その下に、人ひとりが乗れるくらいの小さな木の台があったとか」
「何それ。超こわいじゃん」
「ここらへんでは有名な話ですよ。だからその取材に来たのかと思ったんです」
どんな取材だというのだ。しかし彼女が言うように、その学校はその筋では本当に有名だった。
後日調べてみると、その卒業生が見たというのと全く同じ光景が記録されていた。
存在を隠すということは、学校側にどんな後ろめたい過去があるのか知れないけれど、世の中には自分の知らない不思議な話がまだまだあるのだなぁとつくづく思うのだった。
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