あるグラビアアイドルが番組ですごい話をしてくれた。インターネットだけで見られるテレビ番組でのこと。

グラビアアイドルを数人あつめて恋愛話をするという、なかなかゆるめの企画の最中だった。

ある１人のグラビアアイドルのテンションがずいぶん上がりすぎ、恋愛話の延長でついつい今付き合っている男性がいる事をポロッと言ってしまった。

グラビアアイドルとしては大失格なのだが、そのエピソードは十分な合格点の話だった。彼氏の話になったのは“男物のパンツが家にある”というエピソードから。

１人暮らしの彼女は、普段から変なファンが多くストーカーまがいのこともされて、たびたび家を引っ越してきた。

今住んでいるマンションに引っ越してから半年くらいが経つが、幸いにも変なファンにも知られることなく普通に生活できていた。

そのため安心して彼氏を連れてきたりしていたという。ただストーカーは大丈夫だったのだが、その一帯では帰宅途中の女性がチカンされたり、部屋に入りこまれたりするという事件が多く発生していた。

一度は、夜中に彼女のマンションのドアノブをカチャカチャとひねり、カギが開いていないか確かめる音がしたこともあった。

彼女にすれば「ストーカーよりマシか」と思っていたが、一応、３階に住む彼女は念のために男物のパンツをベランダに干しておいた。

女の１人暮らしだということをにおわさないようにするためである。番組の中では、それが今付き合っている彼氏のブーメランパンツだと仲間のグラビアアイドルに暴露されたのだが――

ある日のこと、夜中にふと目を覚ますとベランダに立つ人影があったのだという。３階にあるベランダにどうやって入り込んだのかわからないが、今まさにベランダのサッシを開けようとしているのだ。

彼女はどうしていいかわからず息をひそめていたのだが、その人影はガラスを割ったらしくサッシのカギを開け中に入り込んできた。そして、ベッドにいた彼女におおいかぶさってきたのだ。

「騒いだら殺すぞ」

暗闇の中で低い声で彼女を脅すその男……。おそらく１８０センチを越えるであろう大きな体格で、彼女を抑え込む力も半端ないものだった。

しかも彼女の顔のまえに刃渡りの長いサバイバルナイフらしきものをちらつかせている。

そして……。

ベルトのバックルをはずす金属音が聞こえ、つづいてズボンをずり下ろす音が聞こえてきた。

相当慣れているのか彼女にナイフをつきつけたまま、パンツ一枚の姿になっていた。彼女はダメでもともとだと思いその男に向かって、初めて声を出した。

「どうか、許してくれませんか……」

すると、その男は怒ったように言った。

「なんだ……、オンナか……」

さっきまでの勢いはどこに行ったのか、力なくズボンを履くとあっと言う間にベランダから消えていった。

あとで見た所、マンションの壁についていた雨水を流すパイプを伝って３階まで上がってきていた。

しかも、防犯用に干しておいた彼氏のブーメランパンツが無くなっていたのだ。その後、現場検証にやってきた警察官から驚きの事実を聞かされた。

最近、女性ではなく男性を狙うレイプ犯がこの辺りで出没しているのだと。しかも男性というのは、女性よりもレイプされたことを明かすことが少ないらしく、被害届も出されないので実際の犯罪状況がつかめていない現状なのだという。

警察が言うには、防犯で干していたブーメランパンツにひかれてその男性レイプ犯がやってきたのではないかという事だった。
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