その日、お笑い芸人Yさんはライブ終わりに芸人仲間と新宿の中古DVD屋に行きました。目的はエッチなDVDを買うためです。
みんなでワイワイ物色していると、1人がお店の片隅に、今は懐かしいVHSビデオが大量に入っている段ボールを見つけました。
「激安VHSビデオコーナー! 全品100円」と貼り紙がされています。
お金のない若手芸人にとって100円は嬉しい値段。
DVDと違って画像も荒く巻き戻しに時間がかかるVHSですが、安いにこしたコトはないと皆その段ボールに入っているエッチビデオを手に取り選び始めました。
するとYさんは、ケースもなければラベルも貼ってない一本のビデオを発見しました。
内容がまったく分からないただ真っ黒なビデオテープなんて普通なら買わないものですが、芸人のYさんは「何かトークの種になるかも」と思い買ってみることに。
周りの仲間もそのテープに興味津々で、今からYさんの家でみんなで一緒に見る流れになりました。
Yさんの家は新宿から10分程にある高円寺のボロアパート。
壁はビックリする程薄く、隣人のイビキやクシャミがはっきり聞こえるほどでした。
デッキにテープを入れ再生ボタンを押すと、それは明らかに商品として売り出したテープでないと分かりました。
画面には男か女かも分からない誰かが、おそらく手持ちのビデオカメラを前方にかまえながら、ただ街を歩いている映像がずっと流れ続けているのです。
10分経っても15分経ってもずっとその映像のまま。
「なんだよコレつまんねえ」
とYさんが停止ボタンを押そうとすると、仲間の1人が何かに気付きました。
「ちょっと待って。こいつ手に何か持ってるぞ」
言われてみれば、街を歩くその人のカメラを持っていない方の手がチラチラと画面に現れていました。
「うわ、何コイツ。鎌持ってんだけど」
「うっそマジで」
ちょうど手が見えた瞬間で一時停止してみると、それはおそらく農業に使われる刃がギザギザの鎌でした。
しかも刃が血で赤く染まっているように見えるのです。
「血染めの鎌持って街ウロウロしてるって、危なくねえかコイツ?」
「……ってか、歩いてるのこの辺じゃない?」
「うわっ。そうだよ。コレすぐ下の道じゃん」
部屋は大騒ぎになりました。
隣人の迷惑になるから……とYさんは皆をたしなめ、また再生ボタンを押します。
すると、その鎌を持った人はさらに道を進み、なんとYさんのアパートの階段を上り始めたのです。
「コイツ、このアパートに住んでるってこと?」
「マジ超こわいんだけど……」
階段を上りきったところでテープは終わりました。画面は砂嵐になり、皆が恐怖におののき部屋が無言につつまれた瞬間でした。
ピンポーン。
突然のインターホン。
全員の心拍数が一気に跳ね上がりました。
Yさんがおそるおそる覗き穴を見ると、そこには白いTシャツにハーフパンツ、おそらく30代前後の男が立っていました。
「すいません、さっきからうるさいんですけど」
「ごめんなさい。静かにします。」
ドア越しにYさんが答えます。
「ちょっとドア開けてくれます?」
「本当ごめんなさい。もう騒ぎませんので。」
「いやドア開けてください。」
「勘弁してください。」
Yさんがドアを開けない理由は一つ、覗き穴から見える男の右手に、血痕がベットリとついた鎌がゆらりゆらりと揺れていたからです。
そして左手には怪しい注射の痕がプツプツと無数にありました。
「ちっ」
男は舌打ちをしてドアの前から去っていきました。それを見届けたYさんはすぐに警察に連絡しました。
1時間後、男はアパートに来た警察に覚醒剤所持で現行犯逮捕されました。さらに男は半年前に起きた女子大生通り魔殺人事件の犯人だったことが分かりました。
男の部屋にあったビデオテープの中から、夜道を歩く女子大生に後ろから近づき、首元を鎌で切りつける映像が発見されたのです。
殺す映像をおさめて後で繰り返し見る……猟奇殺人犯に見られる特徴のひとつです。
きっとYさんが買ったビデオテープは未遂に終わった日のモノでしょう。でも何故そのテープが中古DVD屋に……。
おそらく間違えて他のビデオと一緒に売ってしまったのか、覚醒剤常習犯の行動は理解できませんが、Yさんは人生で一番恐ろしかったと話してくれました。
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みんなでワイワイ物色していると、1人がお店の片隅に、今は懐かしいVHSビデオが大量に入っている段ボールを見つけました。
「激安VHSビデオコーナー! 全品100円」と貼り紙がされています。
お金のない若手芸人にとって100円は嬉しい値段。
DVDと違って画像も荒く巻き戻しに時間がかかるVHSですが、安いにこしたコトはないと皆その段ボールに入っているエッチビデオを手に取り選び始めました。
するとYさんは、ケースもなければラベルも貼ってない一本のビデオを発見しました。
内容がまったく分からないただ真っ黒なビデオテープなんて普通なら買わないものですが、芸人のYさんは「何かトークの種になるかも」と思い買ってみることに。
周りの仲間もそのテープに興味津々で、今からYさんの家でみんなで一緒に見る流れになりました。
Yさんの家は新宿から10分程にある高円寺のボロアパート。
壁はビックリする程薄く、隣人のイビキやクシャミがはっきり聞こえるほどでした。
デッキにテープを入れ再生ボタンを押すと、それは明らかに商品として売り出したテープでないと分かりました。
画面には男か女かも分からない誰かが、おそらく手持ちのビデオカメラを前方にかまえながら、ただ街を歩いている映像がずっと流れ続けているのです。
10分経っても15分経ってもずっとその映像のまま。
「なんだよコレつまんねえ」
とYさんが停止ボタンを押そうとすると、仲間の1人が何かに気付きました。
「ちょっと待って。こいつ手に何か持ってるぞ」
言われてみれば、街を歩くその人のカメラを持っていない方の手がチラチラと画面に現れていました。
「うわ、何コイツ。鎌持ってんだけど」
「うっそマジで」
ちょうど手が見えた瞬間で一時停止してみると、それはおそらく農業に使われる刃がギザギザの鎌でした。
しかも刃が血で赤く染まっているように見えるのです。
「血染めの鎌持って街ウロウロしてるって、危なくねえかコイツ?」
「……ってか、歩いてるのこの辺じゃない?」
「うわっ。そうだよ。コレすぐ下の道じゃん」
部屋は大騒ぎになりました。
隣人の迷惑になるから……とYさんは皆をたしなめ、また再生ボタンを押します。
すると、その鎌を持った人はさらに道を進み、なんとYさんのアパートの階段を上り始めたのです。
「コイツ、このアパートに住んでるってこと?」
「マジ超こわいんだけど……」
階段を上りきったところでテープは終わりました。画面は砂嵐になり、皆が恐怖におののき部屋が無言につつまれた瞬間でした。
ピンポーン。
突然のインターホン。
全員の心拍数が一気に跳ね上がりました。
Yさんがおそるおそる覗き穴を見ると、そこには白いTシャツにハーフパンツ、おそらく30代前後の男が立っていました。
「すいません、さっきからうるさいんですけど」
「ごめんなさい。静かにします。」
ドア越しにYさんが答えます。
「ちょっとドア開けてくれます?」
「本当ごめんなさい。もう騒ぎませんので。」
「いやドア開けてください。」
「勘弁してください。」
Yさんがドアを開けない理由は一つ、覗き穴から見える男の右手に、血痕がベットリとついた鎌がゆらりゆらりと揺れていたからです。
そして左手には怪しい注射の痕がプツプツと無数にありました。
「ちっ」
男は舌打ちをしてドアの前から去っていきました。それを見届けたYさんはすぐに警察に連絡しました。
1時間後、男はアパートに来た警察に覚醒剤所持で現行犯逮捕されました。さらに男は半年前に起きた女子大生通り魔殺人事件の犯人だったことが分かりました。
男の部屋にあったビデオテープの中から、夜道を歩く女子大生に後ろから近づき、首元を鎌で切りつける映像が発見されたのです。
殺す映像をおさめて後で繰り返し見る……猟奇殺人犯に見られる特徴のひとつです。
きっとYさんが買ったビデオテープは未遂に終わった日のモノでしょう。でも何故そのテープが中古DVD屋に……。
おそらく間違えて他のビデオと一緒に売ってしまったのか、覚醒剤常習犯の行動は理解できませんが、Yさんは人生で一番恐ろしかったと話してくれました。
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