あるCSの番組で知り合った若手芸人Oの話です。その芸人Oは福岡から芸人になるために上京してきました。
ところが、東京に行くことを反対していた親には何の連絡も入れずに飛び出してきたため、大したお金も持たずに上京してきたのです。親戚や友だちもいなかった彼は、文字通り単身で東京暮らしをスタート。
なんとか安い安いアパートを借り、1人暮らしを始めました。しかし、いつしか持ってきたお金も底をついて、食事もきちんと3食とれる事が少なくなってきました。
しかも、日雇いのアルバイトも、食べないせいで体力が落ちてきたのか、1日と働けず、いつしか雇ってもらえなくなってしまいました。
カップラーメンを買ってきて、メンだけ食べてスープを残しておき、夕食にポテトチップスをスープで煮て食べ、その残ったスープでキャベツを煮て食べる。
壮絶な貧乏生活で、この荒技をあみだしたのが自慢だと後日聞かされました。そんな生活がたたってか、上京して2カ月ころ彼は風邪で倒れてしまいました。
熱が出て意識がもうろうとする中、布団から一歩も出られなくなったのです。
家には冷蔵庫もなく、頭を冷やす氷もなかったのでタオルに水道水をひたして冷やしていたのですが、台所にいく体力もなくなりついに“寝たきり”になってしまいました。
「このままでは死んでしまう」と焦った彼は助けを呼ぼうと思いましたが、彼は携帯電話を持っていなかったのです。
お金に余裕が出来てからと思っていた彼。残念なことに、上京してから2カ月間ずっと余裕が無かったのです。
しかも、運が悪いことに彼のアルバイトは日雇いだったため、毎日顔を合わせている人がいなかったのです。
普通の人なら職場の人や学校のクラスメイトなんかが気づいてくれて家に来てくれるのですが、Oくんの家を訪れる友人と呼べる人物はいませんでした。
「本当にこのままでは死んでしまう」
体温計もないOくんでしたが、熱は今までに出たことのない温度だなと感じていたそうです。それと同時に生命の危機も感じていました。
倒れてから4日目、Oくんはまる2日も食事をとらず一歩も動けない状態でした。汚い話ですが、シモ関係はすべて布団に垂れ流しの状態だったそうです。
その頃には高熱と疲れで、『眠って起きる』というよりも『気絶して意識が回復する』の繰り返しで「このまま死ぬのだな」とあきらめていたそうです。
時間はハッキリと覚えてないそうですが、その夜“ある人”が彼を救ったのです。その“ある人”とは……落ち武者。彼はそう言いました。
気絶と意識回復を繰り返し、生死の境目をさまよっている中、気づくと胸が苦しくなったそうです。
「とうとう死ぬのか」
とあきらめた彼は目を開けました。すると胸の上には、ざんばら髪を振り乱した落ち武者が仁王立ちしていたのです。
落ち武者は目と鼻と口、顔の穴という穴から血をしたたらせていたそうです。驚いたOくんでしたが、金縛りなのか体力が落ちていたからなのかまったく動けませんでした。
ふと気がつくとその落ち武者はOくんの胸の上でしゃがみこみ、血がしたたる目でOくんをにらみつけたそうです。
その時、落ち武者の右手がOくんのアゴをつかみギリギリと握りつぶしてきました。
どうやらOくんの口を開けようとしているのです。本能的にOくんは「開けたらダメだ」と思い必死で痛みに耐えていましたが、あまりの力の強さと落ち武者の手の冷たさに驚いたOくんはとうとう口を開けてしまいました。
その時、落ち武者は懐からあるものを取り出し、Oくんにそれを見せた後、口の中へそそぎ込んだのです。
それは粉薬でした。
小さな紙につつまれたその粉を落ち武者はOくんに飲ませたのです。
「苦いな……」
ふと気付くと胸の重みが消え、落ち武者もいなくなっていました。その安心感からかOくんはまた気絶してしまったそうです。
そして翌日の朝、目が覚めたOくんは昨日の出来事を思い出し慌てて飛びあがりました。自分の胸を確かめ、布団をたしかめたところで気づいたのです。
「動ける!」
昨日まではトイレにすら行けなかった体力が今朝は回復していたのです。Oくんは汚れていたパンツとズボンを履き換えて公衆電話に行き、福岡の両親に連絡して助けにきてもらいました。
Oくんが言うことには、あの落ち武者が粉薬を飲ませてくれたから助かったのだと言う事です。あれ以来、一度も落ち武者は出てこないそうです。
あの落ち武者がいったい誰で、何の粉薬を飲ませてくれたのかはわからないまま……。
Oくんは、けっこう儲かるようになった今でも、あのアパートに住み続けています。
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ところが、東京に行くことを反対していた親には何の連絡も入れずに飛び出してきたため、大したお金も持たずに上京してきたのです。親戚や友だちもいなかった彼は、文字通り単身で東京暮らしをスタート。
なんとか安い安いアパートを借り、1人暮らしを始めました。しかし、いつしか持ってきたお金も底をついて、食事もきちんと3食とれる事が少なくなってきました。
しかも、日雇いのアルバイトも、食べないせいで体力が落ちてきたのか、1日と働けず、いつしか雇ってもらえなくなってしまいました。
カップラーメンを買ってきて、メンだけ食べてスープを残しておき、夕食にポテトチップスをスープで煮て食べ、その残ったスープでキャベツを煮て食べる。
壮絶な貧乏生活で、この荒技をあみだしたのが自慢だと後日聞かされました。そんな生活がたたってか、上京して2カ月ころ彼は風邪で倒れてしまいました。
熱が出て意識がもうろうとする中、布団から一歩も出られなくなったのです。
家には冷蔵庫もなく、頭を冷やす氷もなかったのでタオルに水道水をひたして冷やしていたのですが、台所にいく体力もなくなりついに“寝たきり”になってしまいました。
「このままでは死んでしまう」と焦った彼は助けを呼ぼうと思いましたが、彼は携帯電話を持っていなかったのです。
お金に余裕が出来てからと思っていた彼。残念なことに、上京してから2カ月間ずっと余裕が無かったのです。
しかも、運が悪いことに彼のアルバイトは日雇いだったため、毎日顔を合わせている人がいなかったのです。
普通の人なら職場の人や学校のクラスメイトなんかが気づいてくれて家に来てくれるのですが、Oくんの家を訪れる友人と呼べる人物はいませんでした。
「本当にこのままでは死んでしまう」
体温計もないOくんでしたが、熱は今までに出たことのない温度だなと感じていたそうです。それと同時に生命の危機も感じていました。
倒れてから4日目、Oくんはまる2日も食事をとらず一歩も動けない状態でした。汚い話ですが、シモ関係はすべて布団に垂れ流しの状態だったそうです。
その頃には高熱と疲れで、『眠って起きる』というよりも『気絶して意識が回復する』の繰り返しで「このまま死ぬのだな」とあきらめていたそうです。
時間はハッキリと覚えてないそうですが、その夜“ある人”が彼を救ったのです。その“ある人”とは……落ち武者。彼はそう言いました。
気絶と意識回復を繰り返し、生死の境目をさまよっている中、気づくと胸が苦しくなったそうです。
「とうとう死ぬのか」
とあきらめた彼は目を開けました。すると胸の上には、ざんばら髪を振り乱した落ち武者が仁王立ちしていたのです。
落ち武者は目と鼻と口、顔の穴という穴から血をしたたらせていたそうです。驚いたOくんでしたが、金縛りなのか体力が落ちていたからなのかまったく動けませんでした。
ふと気がつくとその落ち武者はOくんの胸の上でしゃがみこみ、血がしたたる目でOくんをにらみつけたそうです。
その時、落ち武者の右手がOくんのアゴをつかみギリギリと握りつぶしてきました。
どうやらOくんの口を開けようとしているのです。本能的にOくんは「開けたらダメだ」と思い必死で痛みに耐えていましたが、あまりの力の強さと落ち武者の手の冷たさに驚いたOくんはとうとう口を開けてしまいました。
その時、落ち武者は懐からあるものを取り出し、Oくんにそれを見せた後、口の中へそそぎ込んだのです。
それは粉薬でした。
小さな紙につつまれたその粉を落ち武者はOくんに飲ませたのです。
「苦いな……」
ふと気付くと胸の重みが消え、落ち武者もいなくなっていました。その安心感からかOくんはまた気絶してしまったそうです。
そして翌日の朝、目が覚めたOくんは昨日の出来事を思い出し慌てて飛びあがりました。自分の胸を確かめ、布団をたしかめたところで気づいたのです。
「動ける!」
昨日まではトイレにすら行けなかった体力が今朝は回復していたのです。Oくんは汚れていたパンツとズボンを履き換えて公衆電話に行き、福岡の両親に連絡して助けにきてもらいました。
Oくんが言うことには、あの落ち武者が粉薬を飲ませてくれたから助かったのだと言う事です。あれ以来、一度も落ち武者は出てこないそうです。
あの落ち武者がいったい誰で、何の粉薬を飲ませてくれたのかはわからないまま……。
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