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最初の1人が退場させられると、円卓を囲んでいた彼の椅子もすぐさま片付けられ4人になった僕たちの頭上からまた放送の声が流れる。

『会話を再開して下さい。』

「…いつまでこんなことやらせんだよ!?」

最年長と見えるひげ面の男が叫んだ。

『予定では最後の一人になるまで続けさせていただくつもりです。では、はじめ。』

しばしの沈黙の後、僕の隣の眼鏡を掛けた男が言った。

「めちゃくちゃだ」

「誰だってそう思ってますよ」

僕は頷いた。

「世の中何が起こるか解らないって言うけど、こんな…」

若い神経質そうな女が爪を噛みながら呟く。

「何も、俺たちじゃなくたって良いだろう!?」

またひげ面が叫んだ。

「うるさいな!」

眼鏡が怒鳴る。

「みんなそう思ってんだよ!」

「よ、よして下さい!」

女が立ち上がり、必死に取り繕った笑顔で取りなした。

「いつまでもこんなことやってられっかよ!!」

眼鏡は頭をかきむしった。
ひげ面が僕の方を睨み付ける。

「よぉ兄ちゃん、ずいぶん静かじゃねえか」

「彼は、」

眼鏡も冷ややかな視線を僕に向けてくる。

「なるべく余計なことを言わないようにして、私たちが脱落するのを待ってるんです」

釈明しようとしたが、何を言っても火に油を注ぐだけの気がした。

「…すいません」

気づいたのは頭を下げた後だった。
血の気が引いていくのが解った。

最初の時と同じブザーが部屋に鳴り響く。

「い、いや!今のは…」

僕はスピーカーに向かって叫んだ。

引きずられながら僕が最後に見たのは、他の3人の同情と安堵の入り交じった笑みだった。

最初の男を見送りながら、自分もあんな顔をしていたのかなと僕は思った。

『はい、会話を再開して下さい。』

【解説】
会話がしりとりになっていて、間違えるとどこかに連れて行かれる。
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